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東京地方裁判所 平成7年(ワ)16971号 判決 1997年1月28日

原告

藤森祐樹

被告

有限会社アヅマヤ

ほか二名

主文

一  被告有限会社アヅマヤ及び同長沢弘司は、各自、原告に対し、金六八二五万四九四八円及びこれに対する平成五年一一月二八日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

二  被告千代田火災海上保険株式会社は、原告に対し、原告の被告有限会社アヅマヤ及び同長沢弘司に対する本判決が確定したときは、金六八二五万四九四八円及びこれに対する平成五年一一月二八日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

三  原告のその余の請求をいずれも棄却する。

四  訴訟費用は、これを五分し、その三を原告の負担とし、その余は被告らの負担とする。

五  この判決は、第一項に限り、仮に執行することができる。

事実及び理由

第一請求(一億七九〇三万七六〇五円の内金請求)

一  被告有限会社アヅマヤ、同長沢弘司は、各自、原告に対し、一億七七六二万三四一五円及びこれに対する平成五年一一月二八日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

二  被告千代田火災海上保険株式会社は、原告に対し、原告の被告有限会社アヅマヤ、同長沢弘司に対する判決が確定したときは、一億七七六二万三四一五円及びこれに対する平成五年一一月二八日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

三  訴訟費用の被告らの負担及び第一項につき仮執行宣言

第二事案の概要

一  本件は、見通しの悪い山道において発生した原動機付自転車と自動車の間の交通事故により負傷した原告が、相手方車両の運転者及びその任意保険会社らに対し、損害賠償を請求した事案である。

二  争いのない事実及び証拠により容易に認定できる事実(以下「争いのない事実等」という。)

1  本件交通事故の発生

原告は、次の交通事故(以下「本件事故」という。)により、胸髄損傷、右鎖骨・肩甲骨・第三中手骨骨折、外傷性血気胸、仙骨部褥創等の傷害(甲一)を受け、平成六年七月二七日両下肢機能全廃、体幹機能障害の後遺障害を残して症状固定となり(甲八、九)、自賠責保険により自賠法施行令二条別表後遺障害別等級表一級三号に該当すると認定された。

事故の日時 平成五年一一月二八日午後四時三〇分ころ

事故の場所 埼玉県比企郡鳩山町大字石坂六〇四番地先路上(以下「本件道路」という。)

原告車両 原動機付自転車(東松山市さ七九六。原告運転。)

被告車両 普通貨物自動車(所沢四四の三九三三)

右保有者 被告有限会社アヅマヤ(以下「被告アヅマヤ」という。)

右運転者 被告長沢弘司(以下「被告長沢」という。)

事故の態様 原告車両と被告車両が正面衝突した。事故の詳細については、当事者間に争いがある。

2  責任原因

(一) 被告アヅマヤは、被告車両を所有し、これを自己のために運行の用に供していたものであるから、自賠法三条に基づき、原告に生じた損害を賠償すべき責任がある。

(二) 被告千代田火災海上保険株式会社(以下「被告千代田火災」という。)は、被告アヅマヤとの間で、被告車両を被保険自動車とする自動車保険契約(いわゆる任意保険)を締結しており、同保険約款に基づき、原告の被告アヅマヤに対する判決が確定することを条件として、原告に生じた損害賠償金を支払うべき義務がある。

3  損害填補(一部)

原告は、自賠責保険から二一三七万六三一八円の填補を受けた。

三  本件の争点

本件の争点は、被告長沢の運行供用者責任の有無のほか、本件事故の態様(過失割合)と原告の損害額である。

1  被告長沢の運行供用者責任

(一) 原告の主張

被告アヅマヤは、被告長沢が代表取締役として自宅で靴の販売業を営む会社であり、その実質は、被告長沢の個人会社であるから、被告長沢は、被告車両の実質的保有者として、自賠法三条の運行供用者責任を負う。

(二) 被告長沢の認否

被告長沢が被告車両の運行供用者であるとする点は、否認する。

2  本件事故の態様(過失割合)

(一) 被告らの主張

本件道路は、山道の頂上付近であり、見通しが悪いため、被告長沢は、時速約一五キロメートルで進行中、反対側から原告車両が道路の中央付近を、時速約四〇キロメートルで進行してきたため、本件事故が発生した。

原告は、減速し、道路の左側を進行すべきであるのにこれを怠つたものであるから、本件事故発生については、原告の過失が大きく、原告の損害額を算定するに当たつては、右過失を七〇パーセント斟酌すべきである。

(二) 原告の主張

本件事故は、原告が時速三〇ないし四〇キロメートルで進行中、被告車両が原告車両を上回る速度で進行してきたため、坂の頂点付近で発生したものであり、明らかに被告車両の過失が大きいというべきである。

3  原告の損害額

(一) 原告の主張

(1) 治療費 一〇九万九二三〇円

埼玉医科大学総合医療センター(平成五年一一月二八日から平成六年五月一六日まで一七〇日入院)分 九八万七七七〇円

国立身体障害者リハビリテーシヨンセンター(同年五月一六日から同年七月二六日まで七二日入院)分 一〇万五七〇〇円

埼玉医科大学総合医療センター(平成六年一月一三日から同年一月二〇日まで実日数二日通院)分 五七六〇円

(2) 入院付添費 一四五万二〇〇〇円

一日六〇〇〇円の二四二日分

(3) 入院雑費 三一万四六〇〇円

一日一三〇〇円の二四二日分

(4) 将来介護費 四一〇八万五四九五円

原告は、下半身不随であり、排泄、入浴は両親の介護なしにはできず、その他の身の回りの世話についても、全面的に両親の助力を得ており、今後将来にわたり、近親者の介護を要する状況にあるから、一日当たりの介護料を六〇〇〇円とし、平均余命五七年間の介護料をライプニツツ方式により算定すると、右金額となる。

(5) 休業損害 一七一万九一四七円

原告は、本件事故当時、場内作業員として平成五年の一一か月に二三七万六八五二円の収入を得ていたものであり、その二四二日分。

(6) 逸失利益 九八七四万四四六〇円

原告は、本件事故により一〇〇パーセントの労働能力を喪失し、症状固定時二〇歳であつたから、平成五年賃金センサス産業計・男子労働者学歴計・全年齢平均賃金の五四九万一六〇〇円を基礎とし、四七年間の逸失利益をライプニツツ方式により算定すると、右金額となる。

(7) 家屋改造費 五九四万一〇四〇円

(8) 車椅子購入費 一〇五万七九五一円

車椅子一台二四万二〇〇〇円を耐用年数五年として、平均余命五七年分についてライプニツツ方式により算定すると、右金額となる。

(9) 慰謝料 三四〇〇万〇〇〇〇円

本件事故による原告の慰謝料としては、傷害慰謝料四〇〇万円、後遺症慰謝料として三〇〇〇万円を下らない。なお、被告長沢は、本件事故後、救急車が現場に到着するのを待たず、原告をその場に放置して帰宅した上、その後も原告の見舞いや謝罪も一切しておらず、これらの事情は、原告の傷害慰謝料の算定に当たつて斟酌されるべきである。

(10) 弁護士費用 一五〇〇万〇〇〇〇円

(二) 被告らの認否及び主張

(1) 原告の損害額、とりわけ、<1>将来介護料について、一日当たり基礎金額を六〇〇〇円としている点、<2>逸失利益について、基礎収入を賃金セソサスを使用し、労働能力喪失率を一〇〇パーセントとしている点については、いずれも争う。

(2) 原告は、自賠責保険以外にも、全国土木建築国民健康保険組合から三二万四〇〇〇円の填補を受けている。

第三争点に対する判断

一  被告長沢の運行供用者責任について

被告長沢本人によれば、本件事故当時、被告アヅマヤには従業員がおらず、被告長沢が一人で営業し、被告長沢以外に被告車両を運転する者もいなかつたことが認められ、このような会社の実体及び被告車両の使用形態に鑑みれば、被告車両の運行支配及び運行利益は、被告アヅマヤのみならず、被告長沢にも帰属していたというべきであるから、被告長沢は、自賠法三条に基づき、被告アヅマヤとともに、原告に生じた損害を賠償すべき責任がある。

二  本件事故の態様について

1  前記争いのない事実等に、乙一ないし八、一四、一五、証人藤森勝、原告本人、被告長沢本人、弁論の全趣旨を総合すれば、次の事実が認められる。

(一) 本件道路は、東松山市方面と嵐山町方面とを結ぶ、山林内の中央線の設置されていない、かつ、歩車道の区別のない道路(幅員三・二メートル)であり、東松山市方面からは左にカーブしている。速度規制の標示はない。

本件道路の前方の見通しは、登り坂のため、悪い。

本件道路の勾配は、嵐山町方面から頂上までの一〇メートルは、一〇〇分の八であり、東松山市方面からは、頂上から四〇メートルの地点から頂上に向かい、一〇メートル毎に一〇〇分の二・六、一〇〇分の四・四、一〇〇分の九・一、一〇〇分の五・二と変化しており、路面はアスフアルトで舗装され、平坦であり、本件事故当時、乾燥していた。

(二) 原告は、本件道路をたまに通る程度であつたが、本件事故当時、友人宅に寄つた後、帰宅するため、原告車両を運転し、時速約三〇キロメートルで本件道路を嵐山町方面から東松山市方面に向かい進行中、坂の頂上付近で被告車両を発見したが、急制動やハンドルを切る間もなく、被告車両の右前照灯付近に立つたままの状態で衝突した。原告は、本件事故により、前方に仰向けに転倒する一方、原告車両は、進行方向左側斜面の山林内に落下し、立木に衝突して停止した。

原告は、転倒後も意識があり、被告長沢から、お前の方からぶつかつてきただろう等と言われたが身動きができず、その場に仰向けに倒れたまま、救急車が来るまで、寝たきりでいた。

本件事故により原告車両は、前部(カウル、ライト、ハンドル)が大破し、修理見積額が二〇万五二六三円と車両時価額(一〇万円)を上回り、全損となつた。

(三) 被告長沢は、本件道路を二、三回通つたことがあつたが、本件事故当時、仕事で取引先に行くため、被告車両を運転し、本件道路を進行中、上り坂の途中で原告車両を発見し、ブレーキを掛けたが、原告車両と衝突した。

被告長沢は、事故後、反転して途中の飲食店に設置されていた公衆電話で救急車を呼んだ後、再び事故現場に戻つたが、動転してどうしていいかわからず、その場に佇立したまま、原告の介護等もせず、救急車の到着を待つた。

被告長沢は、救急車が原告を搬送してから、保険会社に連絡するため、再度、公衆電話を掛けに行つたが、電話番号がわからなかつたことから、そのまま帰宅した。その日は、結局、取引先には行かず、警察への連絡も自らはしなかつた。

帰宅後、警察から自宅に連絡があり、被告長沢は、西入間警察署に出頭した後、事故現場に行き、当日の午後七時から実施された実況見分に立ち会つた。

被告長沢は、実況見分の際、現場付近にライトの破片があるのを見たが、路面の滑走痕については、はつきり認識がなかつた。

本件事故により被告車両は、右前部(バンパー、ライト、フエンダー)が小破した。

(四) 本件事故の態様について

(1) 本件事故の衝突地点について

被告長沢は、本件事故の衝突現場は、乙一五(実況見分調書)添付の交通事故現場見取図の<×>1地点であると述べるが、同図面は、本件事故当日の実況見分に元に作成されたものではあるものの、前認定のとおり、被告長沢は、本件事故後に現場を離れて帰宅し、その後、警察の要請等により再度、現場に戻つた後に作成されたものであり、その間、被告長沢の記憶内容のみならず、現場の状況が保全されていたわけでもない上、本件事故当時、原告車両は立つたままの状態で被告車両に衝突しており、本件事故により、乙一五が前提とするような原告車両の滑走痕が路面に印象されたとは容易に考えにくく(証人藤森勝、原告本人によれば、本件道路には、相当程度滑走痕等があり、これと誤認混同した可能性も否定できない。)、他に原告車両の停止位置(同図面の停止位置の記載はかなりあいまいである。)等からだけでは、直ちに同図面の衝突地点の記載を本件事故の衝突地点と認めることはできない(なお、原告の立会もされていない。)。

また、被告長沢は、原告車両が道路の左側に寄つていたと主張するが、被告車両の損傷が右前照灯付近であることは認められるが、その点からだけでは被告の主張を採用することはできない(なお、前記乙一ないし三、六のほか、乙一五の記載上は、原告車両がことさら被告車両進行側に出ていたことは窺われず、被告長沢は、指示説明段階等でそのような説明をしていなかつたものと認められる。)。

すると、本件事故の衝突地点は、被告車両の進行方向上り斜面の頂上付近の中央部付近と認定されるにとどまるというべきである。

(2) 双方の車両の速度について

被告長沢は、被告車両の速度を時速一五ないし二〇キロメートル程度であるとする一方、原告車両はかなりの速度に感じられたと主張するが、前認定の事実によれば、被告車両の損傷がそれほど大きなものではないことに加えて、本件事故現場がカーブし、また、上り坂のため、前方の見通しが悪く、スピードを出しにくい状況にあることは、被告長沢自身も認識していることである上、原告車両進行方向から頂上までの勾配が一〇〇分の八であり、原動機付自転車が速度を出すには、かなりきついものであることが窺われ、他に、原告車両の速度だけが被告車両に比較してそれほど出ていたことを裏づけるべき十分な証拠はなく、むしろ、通常の車両の運転態様を前提とすれば、両者は同速度程度であつたものと認められる(被告長沢も、原告は被告車両のすぐ前辺りに転倒していたとしている。なお、原告車両進行方向の左側は斜面であるから、原告車両が山中に転落していることからだけでは、原告車両の速度がかなり出ていたとまで認めることはできない。)。

2  右の事実をもとにすると、本件事故は、中央線の設置されていない見通しの悪い山道を、原告及び被告長沢がいずれも前方を十分注視しなかつた過失により生じたものというべきであり、かつ、正面衝突であることからすれば、原告と被告長沢双方の過失割合は、五〇対五〇と認めるのが相当である。

三  原告の損害額

1  治療費 一〇九万九二三〇円

(一) 埼玉医科大学総合医療センター入院分(甲四) 九八万七七七〇円

(二) 国立身体障害者リハビリテーシヨンセンター入院分(甲六、七) 一〇万五七〇〇円

(三) 埼玉医科大学総合医療センター通院分(甲五) 五七六〇円

2  入院付添費 一四一万二〇〇〇円

甲四、六、七、弁論の全趣旨によれば、原告は、平成五年一一月二八日から平成六年七月二六日まで埼玉医科大学総合医療センター及び国立身体障害者リハビリテーシヨンセンターに二四一日間入院し、その間、原告の家族が付添看護したものと認められ、近親者の入院付添費は、一日当たり六〇〇〇円と認めるのが相当であるから、二四一日間で右金額となる。

3  入院雑費 三一万三三〇〇円

入院雑費は、一日一三〇〇円と認めるのが相当であるから、二四一日間で右金額となる。

4  将来介護費 三〇八一万四一二一円

甲八、九、乙一二、一三、証人藤森勝、原告本人によれば、原告は、両下肢機能が全廃し、排尿や入浴も一人ではできず、排尿はカテーテルを使用しているほか、排便についても自覚がなく、おむつを常時着けており、その他の身の回りの世話についても全面的に両親の助力を得ており、今後将来にわたり、日常生活について近親者の介護を要する状況にあるものと認められる。

そして、前記の状況に加え、原告の上肢の機能に特段問題はないこと等を考慮すると、近親者の一日当たりの将来介護料を四五〇〇円と認めるのが相当であり、症状固定時二〇歳(甲八)の男子平均余命五七年間の介護料をライプニツツ方式(係数一八・七六〇五)により算定すると、次式のとおり、前記金額となる(一円未満切捨て)。

4,500×365×18.7605=30,814,121

5  休業損害 一七一万二〇四三円

甲一〇、原告本人によれば、原告は、本件事故当時、場内作業員等として平成五年の一一か月に二三七万六八五二円の収入を得ていたところ、本件事故により、入院中の二四一間休業を余儀なくされたものであるから、その間の休業損害は、次式のとおり、前記金額となる(一円未満切捨て)。

2,376,852÷11×12=2,592,929

2,592,929÷365×241=1,712,043

6  逸失利益 九八七四万四四五九円

甲一〇、原告本人、弁論の全趣旨によれば、原告は、中学卒業後、専門学校に進んだが、間もなく中退し、その後、自衛隊に入隊したものの、約一年で除隊し、株式会社タカセキに就職し、さらに本件事故当時、共栄産業株式会社に転職し、勤め始めて一〇日間ほどで本件事故に遭つたことが認められ、このような職歴に加えて、前記収入額及び症状固定時の年齢等を考慮すると、原告の逸失利益については、症状固定時の賃金センサス平成五年男子労働者学歴計全年齢平均賃金(五四九万一六〇〇円)を基礎とし、六七歳まで四七年間について、労働能力喪失率を一〇〇パーセントとしたその間の逸失利益をライプニツツ方式(係数一七・九八一〇)により算定すると、次式のとおり、前記金額となる(一円未満切捨て)。

5,491,600×100%×17.9810=98,744,459

7  家屋改造費 五九四万一〇四〇円

前記認定の原告の症状に加えて、甲一四、証人藤森勝によれば、原告の今後の自宅介護のため、家屋改造の必要があり、その見積りとして五九四万一〇四〇円であることが認められ、これについても原告の損害となる。

8  車椅子購入費 八七万四三四〇円

原告本人によれば、原告には車椅子が不可欠であり、車椅子一台二〇万円(甲一三)を、耐用年数五年として、原告の平均余命五七年分について、ライプニツツ方式(係数四・三七一七)により算定すると、右金額となる。

9  慰謝料 二九〇〇万〇〇〇〇円

原告の傷害の部位程度、後遺症の内容、本件に顕れた諸般の事情を総合斟酌すると、原告の慰謝料としては、傷害慰謝料として三〇〇万円、後遺症慰謝料として二六〇〇万円とするのが相当である。

10  右合計額 一億六九九一万〇五三三円

四  過失相殺

前記の過失割合に基づき、原告の前記損害額から五〇パーセントを減額すると、その残額は、八四九五万五二六六円となる。

五  損害の填補

原告が自賠責保険から二一三七万六三一八円の填補を受けたことは、当事者間に争いがなく、乙一一によれば、原告は、全国土木建築国民健康保険組合から三二万四〇〇〇円の填補を受けていることが認められ(合計二一七〇万〇三一八円)、これらを控除すると、その金額は、六三二五万四九四八円となる。

六  弁護士費用

本件事案の内容、審理経過及び認容額その他諸般の事情を考慮すると、原告の本件訴訟追行に要した弁護士費用としては、五〇〇万円と認めるのが相当である。

七  認容額 六八二五万四九四八円

第四結語

右によれば、原告の本件請求は、被告アヅマヤ及び同長沢につき、各自、六八二五万四九四八円及び本件事故の日である平成五年一一月二八日から支払済みまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払を、同千代田火災につき、原告の被告アヅマヤ及び同長沢に対する本判決が確定したことを条件として、六八二五万四九四八円及びこれに対する本件事故の日である平成五年一一月二八日から支払済みまで年五分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるが、その余はいずれも理由がないから棄却することとし、訴訟費用の負担につき民訴法八九条、九二条本文、九三条一項本文を、仮執行宣言につき同法一九六条一項を、それぞれ適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 河田泰常)

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